微妙な支援の見分け方【量産型事業計画蔓延中(注意)】

このシリーズは、微妙な支援について書いていきます。

実は、中小企業診断士含むコンサルタントの支援は2極化が進んでいると思います。

この記事を読むと、「有益な支援とは何か」が分かるようになり、「効果的なコンサルや支援、教材を選ぶ目利き」が分かります。

この記事の信頼性として、僕は中小企業診断士や公認会計士、民間コンサルと共に10年以上にわたり、仕事をしてきました。

その中で、効果的で企業がぐんぐん伸びるきっかけになった支援と、場当たり的な支援をいくつも見てきました。僕自身も中小企業診断士なので、支援の内容やコンテンツの「目利き」はある程度持っています。その経験を踏まえて説明します。

 

考える「方法手段」を教えるのが秀逸な支援

「考える「方法手段」を教えるのが秀逸な支援」これが結論です。

以下、その理由について説明していきます。

例えば、コンサルや支援を受けると、「資料」を提供されることがあります。

そんな「資料」を例として、「微妙な支援」について考えていきたいと思います。

 

資料は、大別すると情報提供の資料と、ワーク型の資料があります。今回は、「ワーク型の資料」について述べていきます。

【資料の種類】

・情報提供の資料

 

・ワーク型の資料(作業をさせる前提の書類のこと)←こっちについて書きます。

ワーク型の資料はさらに2つに分類されます。

結論からお知らせすると、事業計画策定について、

・考えさせる目的の「ワーク資料」は効果的

 

・書写(模写)目的の「ワーク資料」は微妙

だと思います。

順を追って説明します。

 

モノマネ作文を促す資料提供による支援は微妙

モノマネ作文とは、「見出しや書き出しを定型例で示しているもの、または事業計画書の見本」そのものを参考に、模写して作る事業計画のことを指します。

例えば、事業計画の作成時に、他の企業の事業計画書の見本等を使って、いきなり作文(モノマネの事業計画の作成)を始める作業は、設計無しに家を建てるのと一緒です。

さらに、モノマネの事業計画は、以下二つの困ったイメージも植え付けてしまいます。

・分析無視の「事業計画=作文」であるという認識

 

・コピペ思考→(早く終わらせる・考えることから逃げる)

事業計画自体、文章で構成されている「作文」であることは間違いありません。それゆえ、見本に従って書いていけば、事業計画書は出来るでしょう。しかしそれでは、「事業計画の本質を見失う」という不幸な結果を招きます。

不幸な結果とは、単なる模写の事業計画が「あなたにとって何の効果も生み出さないフェイク計画」となり、せいぜい何処かへ提出するためだけの「アリバイ作文」が出来上がる事です。

 

しかし残念ながら、今までの経験上も、このパターンが多いのも事実でした。

 

このパターンで、融資なり補助金を受けても、計画に「質」が伴わないので、資金も、すぐに溶けて無くなることが多いです。

また、「模写」なので、事業計画を立てる思考自体を身に着けているわけではないので、自分で事業計画を立てる再現性もありません。

つまり、事業計画立案が身につかないことが多いのです。

 

それでも、書写目的の事業計画書が有益な場合もあります。それは、事業計画書等を書くプロとして、ライティングで活躍する場合です。

すなわち、事業計画書を作り上げて提供する「コンサルタント」や「ライター」など、書く作業が必要な業態の方にはピッタリです。それなら、分かりやすく綺麗な文章文体を真似し、ライティング能力を磨く事自体に大きな意味があります。

それでも、すでに事業計画策定の立案プロセスを習得しているという前提は付きますが。

 

計画立案の本質は「考えること」

事業計画は究極のところ、「売上を上げる」「利益を残すこと」の為にあります。

一旦、立ち止まって考えると良く分かります。見本の事業計画書を模写して事業計画を立てていけば、売上がガンガン上がって、ウハウハになりますか?

そうしたら、全員がその見本を使って事業計画を作りますよね。

 

それでは、なぜ、書写目的の書類が存在するのか。理由として考えられるのは、支援側が、

  1. 【マニュアル】ノウハウとして、作業の効率的・効果的な作業を“見える化”する(ため)
  2. 【網羅性の担保】漏れなく、ダブリなく、整然と作業を行う(ため)
  3. 【質担保】質の平準化を図る(ため)
  4. 【共有】社内共有し、誰でも(新入社員でも)書きやすいように雛型を示す(ため)
  5. 【量産化】効率的に作業を行い、量を確保する(ため)
  6. その他

として作成するからです。

①~④はまったく問題無しです。むしろ、まともな会社なら、あって然るべきです。

問題は、「⑥【量産化】効率的に作業を行い、量を確保する(ため)」ことが暴走した支援です。

つまり、事業計画の量産型支援は微妙です。

OUTPUTありきで、考えるプロセスが中心では無いからです。

 

良質なワーク型資料とは?

「じゃあ、どのような資料が一番いいの?」

という質問に対して、僕は「思考を促す資料が効果的」と回答します。

コンサルのワーク型資料は、「隠された秘宝情報」や「売上を上げる魔法」ではありません。

 

支援の本質は「考えるきっかけやツール」を提供し、考えることの再現性を提供していくことでもあります。

ビジネスの基本は、考えることであり、「事業計画書の作文ありき」では無いはずです。

だから、思考の結論(表現方法)である事業計画について、模写させる指導には疑問です。

 

良質な資料やフレームワークは、考える内容について、漏れなく、ダブりなく、思考の流れを活性化させ、最終的に収束させて情報を整理していくことにあります。

順番として、フレームワーク等で思考を整理し、ライティングの段階で、事業計画の見本を使って体裁を確認しながら作成するという順で指導をするというのなら、まだ納得します。

 

作文のコピペ思考が一番悲しいです。

 

魚そのものを貰うより、魚つりの仕方を教えた方が、自分の為になるし、僕もそう教えて欲しいです。

考えるに適した資料と支援で、血の通った事業計画の草案を作ることがなにより大事と考えます。

 

何より、「考える気づき」を与えてくれるコンサルは非常に喜ばれます。

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