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行政書士試験の合格率は10%・・・無理かなぁ
合格まで何年もかかりそうだなぁ・・・
法律の学習経験者でなければ合格できないの?
行政書士試験には、さまざまな不安が付きまといます。
特に、国家試験受験が初めての方はそう思うでしょう。
大学受験でも、せいぜい競争率は5倍ぐらいでしょうか。
5人に1人、つまり合格率は20%。
合格率10%となると、10人に1人の合格者です。
一気に競争率があがります。
学生時代には経験したことのない競争率ではないでしょうか。
人間、経験したこと無い未知のモノには、本能にバイアス(偏向思考)が働き、拒否したり行動を止める理由としてしまいます。
やっぱり、「国家試験は難しい」と必要以上に思い込んでしまうかもしれません。
そこで、行政書士試験の難易度を再度調べてみようと思いました。
もちろん難易度の感じ方は人それぞれなので、一般論の「目安」としていただければと思います。
行政書士試験に向けて勇気が出る内容となれば嬉しいです。
行政書士試験の合格率
これは、行政試験における過去11年の受験者数と合格率のグラフです。
受験者 | 合格者 | 合格率 | |
平成21 | 67,348 | 6,095 | 9.1 |
平成22 | 70,586 | 4,662 | 6.6 |
平成23 | 66,297 | 5,337 | 8.1 |
平成24 | 59,948 | 5,508 | 9.2 |
平成25 | 55,436 | 5,597 | 10.1 |
平成26 | 48,869 | 5,053 | 8.3 |
平成27 | 44,366 | 5,820 | 13.1 |
平成28 | 41,053 | 4,084 | 10.0 |
平成29 | 40,449 | 6,360 | 15.7 |
平成30 | 39,105 | 4,968 | 12.7 |
令和元 | 39,821 | 4,571 | 11.5 |
行政書士試験は、近年では4万人前後が申し込む大人気の国家資格です。
過去11年間では、合格率が最低の年は平成22年の6.6%で、最高の年は平成29年度の15.7%となっております。
ちなみに、合格率の平均は10.4%です。
他資格との比較に、さらに興味がある方はこちらをどうぞ。
資格試験の難易度を考える時は、
「どれだけ、チャレンジしやすいか?」
といった目線から、合格率を目安とする方が多いと思います。
行政書士は、宅建よりは難しく司法書士よりは簡単であると言われます。
確かに、合格率でみてみると、宅建が15%程度の合格率であることから、行政書士の方が5%程度合格率は低くなっています。
では、別の切り口から宅建と行政書士試験を比較していきます。
宅建と行政書士の比較で見えたモノ
ここでは、宅建と行政書士のどちらが難しいかということは論点ではありません。
あくまで、合格率に振り回されてはいけないという理由をつらつらと書いていきます。
余談ですが、僕の経験上、宅建の方が勉強しやすいと思いました。
なぜなら、宅建の学習法規の方が馴染み深かったからです。
民法は、宅建と行政書士の双方に共通の出題範囲としてあるのですが、
もう一つのメインの法律として、宅建は宅建業法、行政書士は行政法を勉強します。
宅建業法は生活と密接である不動産を取り扱うことから、イメージをしやすいんです。
一方、行政法は、専門的な行政用語が多く、とっつきにくいイメージがあります。
合格率より受験生の質で難易度は変化する
宅建も行政書士も受験資格は原則としてありません。
誰もがチャレンジできる資格になっております。
極端な話をすると、小学生でも受験が可能です。
で、宅建は毎年、20万人を超える受験者がいるマンモス資格です。
これは、宅建資格が業種によって必置資格であることや、宅建の知識がさまざまな業種で横断的に必要とされることが上げられます。
このことから、宅建は仕事上、必要にかられてガチで勉強・受験している人も少なく無いということが言えると思います。
つまり、業界に関係・精通している受験生も多いのです
このことから、受験生の質について、宅建が行政書士より低いとは一概には言えません。
行政書士の平均合格率10%に対して、宅建が15%程度とすると、
行政書士試験における不合格者は90%、宅建試験における不合格者は85%となります。
でも、これは、割合の話であって、不合格者の実数とすれば、以下のとおりです。
令和元年度不合格者数(人) | |
宅建士 | 行政書士 |
183,316 | 35,250 |
宅建は18万人が不合格になっております。行政書士試験の受験者の4倍を超しております。
このことから、僕は、合格率だけで試験の難易度を判断することは拙速だと思います。
受験者の質によって難易度は変わってくるのです。
合格率に振り回されてはいけない
結論です。
行政書士試験の受験生の質が低いということは決してありませんが、行政書士の合格率10%という数字に、必要以上に恐れてはいけません。
「司法書士や社会保険労務士は難しそうだけど、行政書士ならなんとかなるかなー」と軽いノリで、受験動機としている人も少なくないと思います。
受験生の質はさまざまなので、すべての人がガチ勉強で臨んでくる訳ではありません。
その理由の一つとして、今度は行政書士試験の申し込み者に対する実際の受験者について調べてみました。
申込者 | 受験者 | 受験率 | |
平成21 | 83,819 | 67,348 | 80.3 |
平成22 | 88,651 | 70,586 | 79.6 |
平成23 | 83,543 | 66,297 | 79.4 |
平成24 | 75,817 | 59,948 | 79.1 |
平成25 | 70,896 | 55,436 | 78.2 |
平成26 | 62,172 | 48,869 | 78.6 |
平成27 | 56,965 | 44,366 | 77.9 |
平成28 | 53,456 | 41,053 | 76.8 |
平成29 | 52,214 | 40,449 | 77.5 |
平成30 | 50,926 | 39,105 | 76.8 |
令和元 | 52,386 | 39,821 | 76.0 |
すると、申込者52,386人に対し、受験者は39,821人と受験率は76%程度となっております。
つまり、24%の人は受験していないことになります。
これは、いかに準備不足の人が多いかを示していると思います。
もちろん、受験した方の中にも準備不足の方が一定程度いると予測することは難しくありません。
このことからも、しっかり準備すれば、合格率以上に勝負になる試験ではないかと思います。
行政書士試験は絶対評価である。
行政書士試験は絶対評価になります。足切りをクリアして、全体の60%を獲得できれば合格します。
ちなみに、法令科目・一般知識科目・総合に足切り点が各あります。
問題が簡単でも難しくても、他人は関係なし。これは嬉しいです。
一方、他人との競争になるのが相対評価試験で、宅建がこれにあたります。
行政書士試験には科目合格制度が無い
行政書士試験は科目合格がありません。
落ちれば、また、すべての科目についてチャレンジしなくてはいけません。
これが、つらいところです。
行政書士試験は舐めると確実に落ちる試験
言えることは、舐めると確実に落ちる試験であるということです。
必要以上に不安視することはありませんが、しっかり対策と立て、計画的に攻略しないとまず落ちます。
強いて言うなら、偶然の合格は無いというのが10%の合格率の意味だと思います。
行政書士試験の平均勉強時間
行政書士の平均勉強時間は500時間と言われています。
目安として、1日3時間の勉強で半年で達する数字です。
無理して独学する必要は無いよね?
どうしても合格したいなら、無理して自分よがりに独学することは進めません。
行政書士試験は、出るポイントをしっかり押さえて勉強していくことが重要です。
受験生に聞くと、試験当日、見たこともない問題が半分近く出るが、半分は過去の論点を押さえておけば解ける問題が出題されると言っています。
ということは、ポイントを押さえれば、半分は取れることを意味しています。
あとは、絶対評価の合格割合の60%まで10%を積み上げれば良いのです。
しっかりとカリキュラムをこなせる資格学校のコンテンツを利用することは、やはり効果的です。
基礎を固めれば、応用する力もおのずと付きます。
合格率に必要以上に惑わされないよう、頑張りましょう!